スポーツ外来
スポーツ傷害には、他の選手との接触や着地の失敗、転倒などにより受傷する前十字靭帯損傷(ACL損傷)や半月板損傷、投球動作やテニス、ゴルフのスイングなどのように何度も同じ動作を繰り返すことにより発症する投球障害(野球肩、野球肘)やテニス肘・ゴルフ障害などがあります。
以下に代表的な疾患について説明します。
- 代表的な疾患
各病態
前十字靭帯損傷(ACL損傷)
再建とリハビリで“安定した膝”を取り戻す
保存療法から手術・競技復帰まで一貫支援
「こんな症状はありませんか?」
- ジャンプの着地や方向転換で「膝が抜ける」感じがする
- スポーツ中に「ブチッ」と音がしてから膝が腫れた
- 膝の不安定感が続き、力が入りにくい
- 下り坂や階段で膝がガクッとする
- スポーツ後に膝の腫れが長引く
いくつか当てはまる場合は、前十字靭帯損傷の可能性がありますので受診をおすすめします。
当院の強み・特徴
1. スポーツ整形に特化した評価と治療
MRI・エコーなどの画像検査を組み合わせ、損傷の程度と機能を正確に評価します。
2. 理学療法士による個別リハビリ
手術前後の段階に応じて、筋力回復・バランス・動作指導を個別に行います。
3. 保存療法から術後リハ・競技復帰まで一貫支援
保存療法・再建術・退院後のアスレチックリハまで一貫体制を整えています。
4. 競技復帰に向けたアスレチックリハビリ
体幹や下肢全体の安定性を高め、再受傷を防ぐための段階的プログラムを実施します。
前十字靭帯損傷とは
前十字靭帯は、大腿骨と脛骨をつなぐ膝の安定に重要な靭帯です。スポーツ中に膝を内側にひねる、急に止まる、ジャンプ後の着地などで損傷することがあります。特にサッカー、バスケットボール、スキーなどで多くみられます。
受傷直後には膝の強い痛み、腫れ、膝が抜けるような感覚(膝くずれ)を伴うことがあります。
主な症状
・膝の痛みや腫れ
・膝が抜けるような不安定感
・膝が曲げ伸ばしにくい
原因とリスク
・ジャンプ着地や急な方向転換による捻じれや外力
・女性アスリートは解剖学的特性から発生リスクがやや高いといわれています。
検査と診断の流れ
診察では膝の安定性を確認するテスト(前方引き出しテスト、ラックマンテストなど)を行い、MRI検査で靭帯の断裂の有無を確認します。


治療の選び方
- 保存療法
- 軽症例や活動量が少ない場合には保存療法を行います。筋力訓練や関節可動域訓練を中心に、膝の安定性を高めるリハビリを進めていきます。
-


- 手術療法
- スポーツ復帰を目指す場合や膝の不安定感が強い場合には、前十字靭帯再建術を行います。自家腱(ハムストリング腱や膝蓋腱)を移植して新しい靭帯を作ります。
手術前後のリハビリの流れ
- 術前
- 通院頻度: 人によって変わりますが、膝の伸びが良くない方は週1回程度のリハビリ頻度となります。
目標:膝が伸びない方は膝がまっすぐ伸びるようになることが目標です。
- 手術~
- 通院頻度:週1~2回
目標:膝関節の可動域の獲得。杖なしの歩行の獲得
- ~3ヶ月
- 通院頻度:2週間に1回
目標:協議復帰に向けて競技特性事の筋力回復 健側と同等の筋力をつけること
- ~9ヶ月
- 通院頻度:2週間に1回
目標:競技復帰
※実際には一人一人の症状により変更があります。
よくある質問(Q&A)
- Q1保存療法の場合、治療期間はどのくらいですか?
- 症状によりますが、3〜5か月程度で日常生活動作が安定します。
- Q2手術療法の場合、入院期間はどのくらいですか?
- 約10〜20日前後が目安です。
- Q3スポーツ復帰までどのくらいかかりますか?
- 一般的には術後6〜12か月を目安に段階的復帰を行います。
当院での取り組み・特長
当院では、理学療法士が一人ひとりの回復段階に合わせたリハビリメニューを作成します。術後は段階的に筋力回復、可動域改善、競技復帰を目指したアスレチックリハビリを行っています。
- メディカル期
- 術直後~術後6週(患部の保護を優先)
- 移行期
- 術後6週間~(筋力の回復)
- アスレチック期
- 術後3か月~スポーツ復帰(現場復帰を優先)
投球障害
繰り返す肩・肘の痛みを改善し、再発を防ぐ
フォーム修正から復帰支援まで包括的にサポートします
「こんな症状はありませんか?」
- 投球時に肩または肘の痛みを感じる
- ボールのスピードが落ちた、コントロールが乱れる
- 肩や肘を動かすと「引っかかり」や「違和感」がある
- 練習後に肩・肘がうずくように痛む
- 肩甲骨周りや背中の張りが強い
いくつか当てはまる場合は、投球障害肩/肘の可能性がありますので早めの受診をおすすめします。
当院の強み・特徴
1. 投球フォームを含めた包括的評価
超音波・MRIに加え、フォーム解析で原因を多角的に分析します。
2. 理学療法士によるマンツーマンリハビリ
柔軟性・筋力・体幹バランスを整え、再発しにくい体づくりを行います。
3. 動画フィードバックによるフォーム修正
撮影した投球動作を用いて、改善点を視覚的に確認しながら修正します。
4. 選手個々に合わせた復帰支援プログラム
競技レベルやポジションに応じた段階的リハビリを提供します。
投球障害とは
投球障害とは、野球やソフトボールなどのオーバーヘッドスポーツで、肩や肘に繰り返し負担がかかることで生じる障害です。特に成長期の選手や投手に多く、投げすぎやフォーム不良が関係しています。
主な症状
・投球動作時の肩・肘の痛み
・ボールのスピード低下
・可動域の制限
・違和感や引っかかり感
原因とリスク
野球動作における投球障害の要因は、大きくわけて3つ
環境的要因:投げすぎ・投手・捕手・練習状況
身体的要因:コンディション不良
技術的要因:投球フォーム不良
検査と診断の流れ
問診や触診に加え、超音波検査やMRI検査で腱板損傷や骨軟骨病変の有無を確認します。また、投球フォーム解析を行い、再発予防にもつなげます。
治療の選び方
- 保存療法
投球障害の治療は多くの場合、保存療法が中心です。投球動作を一時的に休止し、肩・肘の安静を保ちながら、柔軟性改善・筋力強化・体幹トレーニングを実施します。
- 手術療法
- 保存療法で改善が得られない場合、損傷部位に応じた手術療法を行うことがあります。例として、肘の離断性骨軟骨炎に対してはドリリング法や骨軟骨移植術が行われます。
よくある質問(Q&A)
- Q1投球障害は安静にすれば治りますか?
- 痛みは軽減しますが、原因を改善しないと再発する可能性があります。
- Q2リハビリはどのくらい続けますか?
- 症状に応じて3〜6か月程度が目安です。
- Q3投球フォームの指導も受けられますか?
- 当院では理学療法士が実際の投球動作を確認しながらフォーム修正を行っています。
当院での取り組み・特長
当院では、選手一人ひとりに合わせた評価・指導を行い、柔軟性・筋力・フォームの全てに対して包括的にアプローチします。また、動画撮影によるフォームチェックを実施し、再発予防にも力を入れています。
ストレッチング・運動指導
測定機器を使用した指導
投球動作指導
ゴルフ障害
長く健康にプレーを楽しむために
保存療法からコンディショニング指導まで一貫支援
対象:ゴルフ愛好家・競技ゴルファー・再発を防ぎたい方
「こんな症状はありませんか?」
- ゴルフの後に痛みやしびれが生じる
- 痛みのためにクラブを振ることができない
当てはまる場合は、ゴルフ障害の可能性がありますので受診をおすすめします。
当院の強み・特徴
ゴルフフィジオトレーナーによる専門的評価
医師の診察後、ゴルフフィジオトレーナーが痛みの原因を分析し、再発予防のための運動指導を行います。
体の使い方に合わせたスイング改善提案
フォーム解析と動作指導を通して、関節や筋肉に負担をかけにくいスイングへ導きます。
ゴルフ障害とは
ゴルフは歩く運動が多く、幅広い年代で行うことができる生涯スポーツの代表格と言われており、高齢になっても長い期間プレーができることも魅力の一つと言えます。
また、2016年のリオオリンピックからゴルフが競技に追加され2020年東京、2024年パリでも継続してオリンピック競技として選出されており世界でも多くの人が行っているスポーツです。
上述の通りゴルフを行う人は若年層から70代までと幅広い年齢層に楽しまれていますが、近年ゴルファー人口は減少傾向にあり、その要因の一つとして健康を害してゴルフをやめる割合が70代に多いことが挙げられています。
50歳以上のプレイヤーでは約5割の人が痛みのために全力が出せないときがある(図1)としており様々な箇所の痛みの訴え(図2)があります。
主な症状
肩・肘・腰・膝などの痛み、違和感、筋肉の張り
スイング時の動作制限
原因・リスク
ゴルフは年齢を問わず楽しめるスポーツですが、繰り返しのスイング動作によって体の一部に負担がかかり、痛みやケガにつながることがあります。
その原因は、プロ選手とアマチュア選手で異なる傾向があります。
プロゴルファーや競技志向の方では、ハードな練習量や飛距離を伸ばすための強いスイング、試合による疲労の蓄積などが原因で、同じ動作の繰り返しによる「オーバーユース(使いすぎ)」が主な要因となります。
一方で、アマチュアの方では、練習不足やスイングフォームの未熟さ、加齢による筋力・柔軟性の低下が原因で、正しい体の使い方ができずに痛みを起こすケースが多くみられます。
これらのスイング動作は、肩・腰・膝などに痛みを起こしやすいフォームです。
誤ったスイングにはいくつかの原因があります。
① 知識不足
まずは、「どのようなスイングがどの部位に負担をかけるのか」を知ることが大切です。
フォームの基本を理解せずに自己流で行うと、特定の関節や筋肉に過度な負担がかかります。
① 誤った知識
「スイング中に頭を動かしてはいけない」という考え方は、体の回転(捻転)を妨げることがあります。
特に図2のように、ボールを凝視しすぎることで体幹の回転が不足し、肩や腰に大きな負担がかかることがあります。
① スイングの連鎖による影響
図4のようなフォームでは、腰の回転不足が原因となり、図3のように左腰がスウェー(横に流れる)することで、腰や背中の痛みを引き起こします。
特に図2のように、ボールを凝視しすぎることで体幹の回転が不足し、肩や腰に大きな負担がかかることがあります。
① コンディショニング不良
柔軟性の低下や筋力不足は、正しいスイングを妨げる大きな要因です。
特に股関節の可動域が狭いと、図2のような誤った動きが起こりやすくなります。
日常的なストレッチや筋力トレーニングによって、体の動かしやすさを整えることが大切です。
このように、ゴルフでの痛みの多くは「スイングフォーム」と「体のコンディション」の両方が関係しています。
当院では、動作分析とリハビリ評価を通して原因を見極め、痛みを予防しながら長くゴルフを楽しめる体づくりをサポートしています。
治療の選び方
- 保存療法
- スイングや姿勢の修正、ストレッチ、筋力強化を中心に行います。週1~2回の通院で3~6か月を目安とし、痛みの軽減と再発予防を目指します。
- 物理療法
- 体外衝撃波や温熱療法を用いて、筋・腱の緊張を緩和し炎症を抑えます。競技再開のタイミングに合わせて実施します。
- 手術療法
- 明確な構造的損傷(腱板断裂、半月板損傷など)がある場合に検討します。
リハビリの流れ
- 0~2週
- 痛みの評価と負担部位の特定。動作や姿勢の分析を行います。
- ~6週
- 筋肉の柔軟性を高め、スイング時の身体連動を改善します。
- ~3か月
- フォーム安定化と可動域拡大、再発予防に向けた自主トレーニングを指導します。
- ~6か月
- 実際のスイング動作を確認し、最終的なパフォーマンス改善を図ります。
※実際には一人一人の症状より変更があります。
- 自宅でできる運動
- 股関節や胸椎の柔軟性を高めるストレッチを1日2回行いましょう。可動域を保つことで自然とスムーズなスイングが身につきます。
よくある質問(Q&A)
- Q1痛みがあっても練習してよいですか?
- 軽度の痛みでも繰り返すと慢性化することがあります。痛みが続く場合は、医師の診察を受けてください。
- Q2どのくらいでプレーに復帰できますか?
- 症状や原因により異なりますが、軽症例ではプレーを継続しながら治療を行う場合もあります。
- Q3リハビリはどんなことをしますか?
- 股関節や肩甲骨の可動域改善、体幹筋力の強化、スイングフォームの再教育などを段階的に行います。
- Q4ゴルフレッスンとの違いは何ですか?
- フォーム修正だけでなく、身体機能(柔軟性・筋力・バランス)の改善を目的としています。
院外活動
当院は、地域貢献活動の一環として、スポーツ傷害の早期発見や予防などを目的として、少年野球チームや中学サッカーチームに対してメディカルチェック(エコー検査、問診、身体機能検査)を行っています。
また、スポーツ傷害についての知識や理解を深めてもらうために講義を開いたり、ストレッチの指導などを行っています。


