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膝・股関節外科

膝・股関節外科

股関節と膝関節は体重を支える関節です。股関節疾患は、先天的な疾患である臼蓋形成不全や変形性股関節症など、小児から高齢者まで多岐にわたる疾患があります。膝関節疾患は、半月板損傷や変形性膝関節症、大腿骨頭壊死などの疾患があります。

代表的な疾患

各病態

半月板損傷

半月板損傷とは?

体重が加わった状態で膝をひねったり、衝撃が加わることで半月板が損傷することがあります。また、半月板は加齢にともない変性するため、少しの外力によっても損傷する恐れがあります。

症状

階段昇降やしゃがみ込み動作などの運動時に疼痛が生じることがあります。また、膝の曲げ伸ばしの際にひっかかり感を感じたり、“ロッキング”という膝が動かなくなる状態になることもあります。

検査

問診や理学所見、レントゲン、MRIなどの画像所見で診断を行います。

治療法

保存療法
可動域の改善や筋力強化の運動療法を中心に行い、半月板に負担のかからない日常生活動作の練習を行います。
また、競技に合わせたトレーニング(フォームの修正など)を行い、疼痛軽減を図ります。
手術療法
手術は関節鏡を用いて行います。手術の方法として、損傷した部分を切り取る“切除術”と、損傷した部位を縫い合わせる“縫合術”の2種類があります。
関節鏡による手術のため、膝の下方に1cm程度の創が2ヶ所できるだけです。

半月板損傷に関するQ&A

Q1:手術をしなければいけないの?どんな治療法があるの?
損傷が大きくならないように日常生活動作の練習や、筋力強化・可動域向上の練習をします。また、運動習慣のある方には運動を控えるように促したりもします。
Q2:入院期間はどのくらいなの?
3~5日程度になります。手術翌日から松葉杖で歩行を開始します。基本的には松葉杖での歩行が安定していれば、退院することが可能なので短期間の入院となります。
Q3:どのくらいでスポーツに復帰できるの?
スポーツの種目によって変わってきますが、半月板切除術では2~3ヶ月、半月板縫合術では4~6ヶ月程度とされています。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは?

加齢・肥満などの素因にも関与して生じることがあります。
加齢により、関節軟骨が弾力性を失い、つかいすぎることで関節軟骨がすり減ることで関節が変形します。
また、骨折、靭帯損傷や半月板損傷などの外傷後の後遺症として発症することもあります。

検査

問診、触診、視診、レントゲンやMRIなどの画像検査で診断を行います。

症状

主な症状は膝の痛みです。立ち上がり、歩き始めなど動きだす時に痛みが生じやすいです。
変形が進むにつれて、正座や階段の昇降が困難となり、安静時にも痛みがとれにくくなる場合があります。

治療法

保存療法
過度に膝を曲げたりすることや肥満などにより膝に負担をかけることで進行することがあります。
そのため、膝関節周囲の筋力を強化し膝関節を安定させたり、ストレッチをして膝関節の動きをよくします。
また、痛みを減らすための立ち上がり、歩き方、杖の指導などを行います。
手術療法
当院では高位脛骨骨切り術、人工膝関節単顆置換術、人工膝関節全置換術を行っています。
高位脛骨骨切り術
脛骨や大腿骨を切り、変形を矯正する方法です。自己の膝関節を残すことができるので手術後は運動復帰することが可能です。
膝の状態や、松葉杖を上手に扱えるかによって手術の方法を選択します。
高位脛骨骨切り術
人工膝関節単顆置換術
膝の内側あるいは外側の関節部分を置き換える方法です。全てを置き換える方法(全人工膝関節置換術)より侵襲が少なく、手術後の疼痛が少ないのがメリットです。
人工膝関節単顆置換術
人工膝関節全置換術
膝関節の傷んでいる骨の部分を切り取り、人工の関節に置き換えることで、歩行時や動作時の痛みを取り除くことができます。
人工膝関節全置換術

変形性膝関節症に関するQ&A

Q1:保存療法の場合は治療期間はどれくらいですか?
病態を理解していただき、自己にて疼痛が増悪しないように管理できるようになったらリハビリテーションは終了しています。
Q2:手術療法の場合、入院期間はどれくらいですか?
手術の方法や人により違いがあります。約3~4週間です。
Q3:一度手術したらもうしなくてもよいですか?
高位脛骨骨切り術は、骨が癒合すれば留めていた金属を外すために手術する必要があります。人工関節置換術は人工関節の寿命が来たら再置換術することがあります。

変形性股関節症

変形性股関節症とは?

加齢・肥満などの素因にも関与して生じることがあります。
加齢により、関節軟骨が弾力性を失い、関節軟骨がすり減ることで関節が変形します。
また、臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼などの先天的な要因によって変形が生じることもあります。

症状

主な症状は、関節の痛みと機能障害です。初期の頃は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。変形が進行するにつれ痛みが強くなる場合があります。
日常生活では、靴下が履きにくくなったり、足の爪切りがしにくくなることがあります。

検査

問診や診察などのあとで、股関節の可動域制限やX線写真をみて診断します。
必要に応じてCTとMRIなどの検査を行います。

治療法

保存療法
股関節の疼痛を軽減するために杖を使った歩行など日常生活動作の練習や可動域改善の練習、筋力強化を行います。
また、股関節の負担を減らす為に体重管理を行うこともあります。
手術療法
全人工股関節置換術
変形した関節を、金属やポリエチレンでできた人工関節に入れ替えることで痛みがなくなり、歩行などの日常動作が改善されます。年齢や骨の形状、などによって骨セメントを使用するか、使用せずに骨に直接固定する方法があります。
変形性股関節症に対する全人工股関節置換術

変形性股関節症に関するQ&A

Q1:保存療法の場合は週に何回通いますか?
自宅で行える運動療法を練習しますので、週1回の通院が多いです。
Q2:手術療法の場合、入院期間はどれくらいですか?
約3~4週間です。
Q3:手術後は気をつける事はありますか?
脱臼しないように行ってよい動作を覚える事が大切になります。また、人工関節の寿命を延ばすために歩行以上に股関節に負担のかかる動作は控えるように促します。

リハビリテーション

保存療法でのリハビリテーション
  • 可動域訓練
  • 筋力強化の運動
  • 日常生活動作の練習
保存療法リハビリテーションの様子
保存療法リハビリテーションの様子
手術前のリハビリテーション
保存療法のリハビリテーションに加えて、手術予定の下肢の荷重を管理する練習をすることもあります。そのため、松葉杖歩行などの練習をすることがあります。
手術前リハビリテーションの様子
手術前リハビリテーションの様子
手術後のリハビリテーション
手術後は患部の回復の阻害にならないように運動療法を行っていきます。
退院後も外来リハビリテーションがありますので、一貫した治療を受けていただけることが可能です。
また、春日井整形外科やデイケアもありますので、患者さまに合わせたリハビリテーションを提供しています。
手術後リハビリテーションの様子
手術後リハビリテーションの様子
手術後リハビリテーションの様子
手術後リハビリテーションの様子
退院後リハビリテーション
機能回復の程度や目標設定には個人差があるため、各患者さんに合わせたリハビリテーションを進めていきます。リハビリテーションの頻度は週1~2回としており、改善が見られれば徐々に回数を減らしています。

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