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肩関節外科

肩関節外科

肩の痛みは関節の痛みとしては腰痛、ひざ痛に次いで頻度が高いといわれています。その肩の痛みを生じさせる疾患も年代により異なります。

~20歳代・・・投球障害肩・反復性肩関節脱臼等のスポーツ障害
40~50歳代・・・肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
60歳代~・・・腱板断裂

当院ではこれらの肩関節疾患を有するスポーツ選手や高齢者など多岐に渡る患者様に対して日常生活動作の改善やスポーツ復帰のための運動療法や薬物療法、手術を行っています。

以下に代表的な肩関節疾患について説明します。

代表的な疾患

各病態

腱板断裂

腱板断裂とは?

肩甲骨と腕の骨をつないでいる4つの筋肉である腱板が切れてしまうことを言います。
腱板は上側に棘上筋、前側に肩甲下筋、後ろ側に棘下筋と小円筋があります。
最も断裂が起こりやすいのが腕を上げるときに使う棘上筋です。
断裂のタイプには、完全に切れる「完全断裂」と部分的に切れる「不全断裂」があります。
転倒して手や肘をついたり、物を持ち上げようとしたり、外傷をきっかけとして発症する場合がありますが、ケガの覚えがなくても加齢に伴い発症することがあります。
腱板断裂は、高齢者では約3人に1人は起きているとされています。

図:棘上筋完全断裂の例
棘上筋完全断裂の例

症状

肩から腕にかけての痛み、可動域制限、筋力低下により肩に力が入りにくくなります。
痛みのために自分で肩を上げることができませんが、反対の手で手伝うと肩を上げることができます。
切れた腱板が自然につながることはありません。肩から腕にかけて痛みを感じるようなら整形外科を受診することをお勧めします。

検査

レントゲン写真のみでは診断をすることは難しいですが、腕の骨が上がってる時は腱板断裂を疑います。
またMRI検査を実施することで70-90%程度が診断可能です。
診察室にて超音波検査(エコー)によっても診断可能です。

 非断裂例腱板断裂例
レントゲン非断裂レントゲン例腱板断裂レントゲン例
MRI非断裂MRI例腱板断裂MRI例

治療法

保存療法
腱板が切れていても、運動や薬物療法により症状が軽快することが多くあります。
薬物療法では飲み薬や貼り薬を使用し、痛みが強い場合は関節注射をすることがあります。
運動療法では、筋肉をほぐしたり断裂していないほかの腱板や肩の周りの筋肉を鍛えることで痛みの軽減と可動域の回復を目指します。
ただし、運動の仕方によっては、断裂が進行することがあるので、医師や理学療法士の指導に従って行うようにして下さい。
運動療法(リハビリ)の例①
残っている腱板を鍛える体操
運動療法(リハビリ)の例②
肩甲骨と背骨の動きをよくし、姿勢を整え、肩の可動域を改善させる
手術療法
これらの方法で症状を軽減できない場合は手術が検討されます。特に肩を多く使う仕事やスポーツをする方は手術の対象となることが多いです。
手術は腱板修復術が広く行われており、腕の骨にアンカー(糸つきのネジ)を打ち込み切れた腱板を縫合することで腱板をくっつけます。
その他、上方関節包再建術や人工関節置換術などが行われます。
腱板修復術模式図
腕の骨に糸のついた「アンカー」とういネジを数個打ち込む。
その糸に腱を通して、引っ張り腕の骨に縫いとめる。
術後リハビリの例①
術後早期の肩甲骨を動かす運動
術後リハビリの例②
手術直後は固定装具を装着します
(関節可動域練習)

腱板断裂に関するQ&A(保存療法)

Q1:保存療法の場合、リハビリはどのようなことを行いますか?
症状のさらなる悪化を予防するために日常生活で肩への負担を減らす動作指導・姿勢指導や、関節可動域練習、筋力トレーニングを行います。
Q2:腱板断裂では必ず肩が上がらなくなりますか?
いいえ。腱板は4つの腱から成り立っているため、1つの腱が断裂しても残っている他の腱と、強力な三角筋という筋肉が機能すれば肩は上がります。
Q3:転んで肩を強く打ったなどの強い衝撃が無くても腱板断裂を引き起こすことはありますか?
はい。肩への強い衝撃以外でも、肩を酷使するスポーツ経験者や加齢など自然経過の中で腱板断裂は生じることがあります。

腱板断裂に関するQ&A(手術療法)

Q4:手術療法の場合、入院期間はどれくらいですか?
断裂の大きさ・術後の経過により差はありますが、約4~6週間程度となります。
Q5:手術療法の場合、仕事復帰はどれくらいですか?
スポーツ/重労働であれば約8ヶ月頃から、パソコン作業であれば約4~6週間頃ですが、断裂の大きさ・術後の経過・仕事の種類等により異なります。
Q6:手術療法の場合、最も注意することは何ですか?
最も注意することは修復した腱板の再断裂です。手術直後は腕を持ち上げるだけで腱板が再断裂してしまうため自分で腕を動かすことができません。
術後3ヶ月までは重くても1kg程度のものしか持ち上げてはいけません。

肩関節周囲炎

肩関節周囲炎とは?

40-50歳代で最も多く発症し、多くの場合は明らかな原因がなく肩周囲の腱や関節包などの軟部組織の炎症による症状が出始めます。
原因はまだ解明されていませんが、加齢に伴う肩の組織の劣化が有力な要因として考えられています。

症状

肩関節周囲炎は、経過として特徴的な3つの病期があります。

肩関節周囲炎の特徴的な3つの病期
炎症期
肩を動かす時だけでなく、何もしていないとき、就寝中にも痛みがあります。
痛みはありますが肩は動かせます。
拘縮期
痛みは軽減してきますが、肩が徐々に動かしにくくなります。
また無理に動かそうとすると痛みが出ます。
緩解期
痛み・肩の動き共に改善していき、日常生活に支障をきたさなくなります。

通常1-2年で自然に治りますが、放置すると肩関節が動かなくなることもあるため、仕事や生活に支障がある場合は受診することをお勧めします。また、別の病気で症状が長期化している場合もあるので、正しい診断を受けることも大切です。

治療法

保存療法
腱板が切れていても、運動や薬物療法により症状が軽快することが多くあります。
薬物療法では飲み薬や貼り薬を使用し、痛みが強い場合は関節注射をすることがあります。
運動療法では、筋肉をほぐしたり断裂していないほかの腱板や肩の周りの筋肉を鍛えることで痛みの軽減と可動域の回復を目指します。
ただし、運動の仕方によっては、断裂が進行することがあるので、医師や理学療法士の指導に従って行うようにして下さい。
炎症期
飲み薬や貼り薬を使った薬物治療、強い痛みには関節注射をします。
リハビリテーションでは筋肉をほぐすことや痛みを増強させないための日常生活指導を行います。
拘縮期
肩の運動やストレッチ、肩甲骨や背骨など肩の周囲の運動を行い、可動域を広げていきます。
緩解期
低下した肩の筋力や可動域を取り戻すために積極的に運動を行います。
拘縮期と緩解期には、ヒアルロン酸注射や、関節内に薬液を注射し固まった関節を膨らませたりして、可動域の回復を目指します。
さらに麻酔薬で麻痺させた状態で、医師が直接硬くなった関節包をはがすエコーガイド神経ブロック下徒手授動術が検討されることがあります。
運動療法(リハビリ)の例①
肩の動きを改善する体操
運動療法(リハビリ)の例②
肩の可動域を維持する体操
手術療法
またこれらの治療を行っても日常生活への支障が大きい場合や、リスクがある場合などはほかの手術が検討されます。
手術では関節鏡で患部を直接見ながら、肩の硬さの原因となっている関節包を切開する関節鏡視下関節包切離術を行います。

肩関節周囲炎に関するQ&A

Q1:保存療法の場合、治療期間はどれくらいですか?
症状・経過により異なりますが3~6ヶ月程度を目処に保存療法を行います。
Q2:肩関節周囲炎では、肩が動かなくなるのを防ぐために痛みを我慢して動かした方がいいですか?
いいえ。痛みを我慢して肩を動かすと炎症を助長してしまうためさらに悪化してしまいます。リハビリテーションでは、経過に応じて痛みの無い範囲で動かしていきます。
Q3:日常生活での注意点はありますか?
物をとるときは体の正面でとる、重いものをなるべく持たない、体のそばでものを持つようにするなど肩に負担のかからない方法を選択して下さい。

反復性肩関節脱臼

反復性肩関節脱臼とは?

関節がはずれることを「脱臼」といいます。
肩関節脱臼は例えばラグビーや柔道などの激しい接触で起こりますが、その脱臼が2回3回と繰り返すものを反復性肩関節脱臼といいます。
肩関節は人間の体の中で最も可動範囲の大きな関節ですが、その反面最も不安定な関節とも言えるため脱臼を起こしやすい関節です。

症状

コンタクトスポーツや野球・ソフトボールなどのオーバヘッドススポーツで外転・外旋(腕を外側後方に動かす動作)が強制されたときに脱臼が起こりやすくなります。
腕の骨が前下方に外れる場合が多く、外転・外旋する動作に不安感を持ち、肩関節前方の不安定感があり、同部に圧痛があることが多いです。
脱臼を繰り返し起こすと、スポーツ時だけでなく日常生活動作・就寝時に外れることもあります。

検査

レントゲン撮影により脱臼、骨欠損を評価します。
また、肩関節内に造影剤を注入した後にMRI撮影やCT撮影では軟部組織の損傷程度を評価できるので、手術の適応や方法を決定するのに有効です。

治療法

保存療法
初回脱臼の整復後は断裂した関節包などの軟部組織が修復するまで、約4週間の固定が必要です。
装具固定除去後は肩・肩甲骨の可動域訓練・筋力トレーニングを行い再脱臼を予防します。
手術療法
繰り返し脱臼してしまうと肩関節の骨(上腕骨と肩甲骨)をつないでいる関節包と靭帯が破れてしまいます。
破れた関節包と靭帯は放置しておいても元に戻りませんので、2回3回と繰り返し脱臼してしまうようならば手術を行う必要があります。
当院では主に鏡視下で行う手術を行っています。
鏡視下バンカート
破れてしまった関節包と靭帯を縫い合わせる方法です。
糸のついたアンカーを肩甲骨に打ち込んで縫い合わせます。
鏡視下バンカート&ブリストー法
ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツは衝撃が強い為、バンカート法のみでは強度が足りないこともあるため、より強度の高いブリストー法という方法を加えます。
ブリストー法は肩関節のすぐ内側にある烏口突起というところを肩甲骨の受け皿に移植してさらに外れにくくします。

反復性肩関節脱臼に関するQ&A

Q1:保存療法の場合、治療期間はどれくらいですか?
約4週間の装具固定後、再脱臼予防のリハビリを行います。
Q2:手術の場合の入院期間はどれくらいですか?
約3-7日間になります。その後、外来リハビリが必要となります。
Q3:術後のスポーツ復帰はいつになりますか?
接触がないスポーツは術後約4ヶ月、ラクビーなど激しいコンタクトスポーツは術後6ヶ月で復帰となります。

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