理学療法とは
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
当科では特に肩、脊椎(頚及び腰)、変形性関節症、スポーツ傷害に対して専門的な治療を提供しています。
リハビリテーション室には、治療用ベッド、各種電気治療器、エアロバイクなどが設置してあり、小児や学生から高齢者まで幅広い層に対応できる設備を用意しています。
また、近年整形外科疾患にも応用されるようになった超音波診断装置(エコー)や最新の物理療法治療機器を導入しており、最先端の評価及び治療システムを用いています。
当院の理学療法部門の紹介
肩関節障害の理学療法
肩関節は人体の中で最も可動範囲が広い関節です。また、上肢の基盤であるため障害(いわゆる五十肩・脱臼・腱板断裂など)が多いという特徴があります。
例えば、いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)には病気の時期によって治療内容が異なります。当科では、医師と協力し正確な評価の結果から、治療の優先順位を決め、患者さんに適した理学療法を実施しております。また、腱板断裂に対してもMRIやエコーにより病態を詳細に確認し、患者さん個々の状態に合わせた理学療法を提供しております。運動療法のみでは対応が困難な場合はあさひ病院との連携により手術療法をお勧めします。同じ法人内への紹介となるため、手術前後の連携がスムーズであり、術後のリハビリテーションを当院で行うことが可能です。
脊椎障害の理学療法
頚部痛及び腰痛は整形外科疾患の中で最も患者数が多い病態です。痛みの原因は様々ですが、長引く痛みに対する治療は、患者さん本人が主体的に取り組んでいくことが最も重要であり、治療効果も高いとされています。当科では痛みに対する運動やストレッチング、そして原因となる動作を特定して日常生活の動作まで指導させていただきます。
また、スポーツ傷害の一つである成長期腰椎分離症の治療にも積極的に取り組んでいます。
腰椎分離症は、
①スポーツ中は腰痛があるが日常生活では痛みが少ない
②腰を反らす、捻じると痛みがでる
などの症状が特徴であり、病期により運動量の調整が必要な疾患です。
変形性関節症の理学療法
変形性関節症とは、加齢や日々の活動によって骨の表面を覆う軟骨がすり減り、痛みを伴う疾患です。
一度変形した関節を治すことは手術以外ではできませんが、理学療法を行うことにより、痛みや関節可動域制限などの機能障害が改善し、日常生活活動をより快適におくることが可能です。
当科では痛みや関節可動域、筋力の評価はもちろんのこと、片脚立ちや歩行速度などの日常生活に直結する能力の評価を行い、患者さんに合った治療を提供します。
スポーツ障害の理学療法
スポーツ傷害の理学療法において必要なことは、原因を突き止め治療し、再発を予防することです。スポーツは全身をダイナミックに使うことから、痛みがある関節とは別の部位に原因があることが多々あります。そのため、当院では全身の機能評価から傷害の原因を突き止め、治療にあたるシステムを構築し、実践しています。
さらに、手術となった場合もあさひ病院と連携し、手術前より機能が高くなるように、積極的なアスレチックリハビリテーションを提供しています。
当院の足底挿板療法
当院では、国家資格である義肢装具士と理学療法士が協力して、靴の中に入れる中敷き(足底挿板)を個々に合わせて製作しています。
またシューズやスポーツ種目に合わせて足底挿板(インソール)の材料を変えており、あらゆるシューズ(ハイヒールシューズ、スケートシューズ、バレエシューズ、スパイクなど)に対応可能です。
従来の足底挿板(インソール)とは、違い、必ず両足に製作し、個々の動き(歩行、姿勢、スポーツ動作など)を評価して矯正することで疼痛治療や障害予防を行ないます。
当院では足底挿板療法を専門にしているスペシャリストが対応しています。
※足底挿板療法とは
個々の姿勢、歩行、スポーツなどの動作からくる疼痛を改善するために製作する足底挿板(インソール)を使用して治療する方法である。従来の足底挿板(インソール)の考えとは違い、単に足に合わせるとか痛みの箇所を逃がすとか土踏まずを挙げるとかでは無く、動きを変化させることで足にかかる圧力や重心を変化させ、痛みなどを改善させる方法である。
院外活動
当院は、地域貢献活動の一環として、スポーツ傷害の早期発見や予防などを目的として、少年野球チームや中学サッカーチームに対してメディカルチェック(エコー検査、問診、身体機能検査)を行っています。
また、スポーツ傷害についての知識や理解を深めてもらうために講義を開いたり、ストレッチの指導などを行っています。