体外衝撃波治療(Extracorporeal Shock Wave Therapy)とは?
音速を超えて伝わる圧力波を利用した新しい治療法です。欧州を中心に臨床現場でも低侵襲ながら有効な治療法として普及しています。また欧米ではアスリートに対する有効な治療法として主に整形外科領域の疾患に使用されています。
体外衝撃波の治療メカニズムは?
組織が損傷し炎症などが起こると、局所的に毛細血管が増殖する事が知られています。さらに疼痛を感受する神経(自由神経終末)は毛細血管に絡みつくようにして並走しているため、毛細血管が増殖すると自由神経終末も増殖する事になります。
このような状態は疼痛の閾値を下げるため、痛みを感じやすい状態となってしまいます。
体外衝撃波は、患部に衝撃波を照射する事で増殖した自由神経終末を破壊し、疼痛を軽減させる効果があります。
また、骨癒合が遅れている骨折や疲労骨折に対して体外衝撃波を照射する事により、骨修復を促し骨折の治癒過程を促進させる効果も報告されています。

炎症により増殖した毛細血管と神経
体外衝撃波の治療対象
◎国際衝撃波治療学会(ISMST)適応疾患
□足底腱膜炎 □骨折遷延治癒
□アキレス腱炎 □疲労骨折
□上腕骨外側上顆炎 □偽関節
□石灰沈着性腱板炎 □(早期の)無腐性骨壊死
□腱板炎 □(早期の)離断性骨軟骨炎
□膝蓋腱炎
□大転子部痛
このうち国内で保険適応疾患となっているのは、難治性足底腱膜炎となります。
体外衝撃波の種類は?
体外衝撃波には、2つの種類があります。
収束型体外衝撃波(Focused Shock Wave)
拡散型圧力波(Radial Pressure Wave)

DUOLITH® SD1

MASTERPULS®MP100
収束型体外衝撃波(F-SW)は、いわゆる体外衝撃波となります。拡散型圧力波(R-PW)は、収束型体外衝撃波とは異なる特徴があります。
拡散型圧力波(Radial Pressure Wave)とは?
圧縮した空気によって発射体を飛ばすことで弾道衝撃波を発生させ、そのエネルギーを放射状に放出します。圧力波も衝撃波の一種ですが、収束型体外衝撃波とはエネルギ―特性(深度・強度)が異なります。


収束型体外衝撃波が原因組織に最も高いエネルギーを照射するのに対し、拡散型圧力波は発生させたエネルギーは皮膚表層で最大となります。
収束型体外衝撃波と拡散型圧力波の適応は?
両機種ともに治療効果は似ていますが、照射されるエネルギー特性が異なるため、機種の特徴からその適応が決まります。当院では、これまでの使用実績から以下のように両機種を使い分けています。
収束型体外衝撃波(F-SW)
疼痛が主症状
□痛みの発生部位が深部にある
□痛みの発生範囲が局所
骨関節疾患
□骨折の遷延治癒
□偽関節
□骨壊死
□離断性骨軟骨炎(早期) etc
拡散型圧力波(R-PW)
疼痛が主症状
□痛みの発生部位が浅層にある
□痛みの発生範囲が広範囲
拘縮(関節可動域制限)
□凍結肩(いわゆる五十肩)
□術後関節拘縮
□筋短縮 etc
当院では、2016年10月から収束型体外衝撃波治療器(DUOLITHR SD1)を、2018年3月から拡散型圧力波治療器(MASTERPULSRMP100)を臨床現場で積極的に使用しています。当院の使用実績は全国でもトップレベルを誇っています。